格差って？

「反格差」デモとやらが話題になってからしばらく経つ。
ふとそのことを思い出したのは月末になって給与明細を貰ったからで、
今月の手取りも10万円には届かなかった。
毎日きつい仕事に通って、である。

自分の時給は700円。
この賃金で暮らしていける人がいるのか。
少なくとも、「健康で文化的な最低限度の」生活には遠く及ばないだろう。
たとえば子供を育てられるのか？できるはずがない。
それどころか結婚することも絶対に不可能だ。
計算年収は140万円になる(手取りは120万にも満たない)のだが、これが日本の物価で通用する数字なのかどうかは明らかである。
たとえば国内の平均年収を見てみると、
農家　　　　　　　　765万円
地方公務員　　　　　728万円
国家公務員　　　　　628万円
生活保護の母子家庭　526万円
サラリーマン平均　　439万円
プログラマー　　　　412万円
大工　　　　　　　　365万円
ビル清掃員　　　　　233万円
このデータはあくまで平均だから、上もいるし下もいる。
でも、自分はバイトで働いてるわけじゃない、非正規のフルタイム就労者なのだ。

綾小路翔とゴマキだったかが週刊誌の対談で、こんな趣旨の話をしていた。

ゴマ「自立した男性なら最低限の年収でも(気にしない)」
翔　「月収16万くらい？」
ゴマ「なんでそんなに具体的なんですか(笑)」
翔　「いずれにせよ、ゴマキより稼げる男なんてそんなにいないから(笑)」

もちろん、翔としてはまっとうに仕事をしているのに16万どころか9万の月収の人間がいるなんて、念頭にはなかったにちがいない。
でもこの場合、人格ではなく「収入で」切られたことになるのだ、ゴマキの発言意図とは裏腹に。
まあ自分がゴマキの立場だったら(笑)、月収9万なんて人間、お知り合いになるのも嫌だろうけど。
「時給800のワープアが可哀想」なんてのもネットでよく見るフレーズだが、時給700円の自分にとって、その差額100円は喉から手が出るほど羨ましいのだ。

城繁幸は「東京の反格差デモの意図が分からない。なぜ先進国に生まれただけで有難いと思わないのか」的なことを言っていたらしいんだが、
じゃあ、養ってやってる公務員からゴミ扱いされ、養ってやってる高齢者から低所得のクズ扱いされ、養ってやってるただ飯食らいの上司に土下座して、
安い靴の剥がれた靴底をひきずって過酷な肉体労働、腹が減っても公園の水道の水を飲むしかない、首を吊るためのロープも買えない、こういう生活をしてみろよ、と。
少なくとも自分はそういう生活をしてきてるから、その日暮しで選挙や反格差デモにいくことすらできない、それどころか働き詰めで必要な医療も受けられない年収100万代が何千万人いる状況はやっぱりおかしいと思う。

リョーユーパソの時給700円は壊れて動かなくなったら自分からやめてくれる使い捨て部品なんだよ。
確実に肩と腰を壊す消耗品なんだよ。
その辺が全く理解されていないと思うわけだ。
格差が存在すること自体が悪いとは思わない。
底辺の値が命を脅かすほど低いのが問題なのに、城繁幸みたいな勝ち組中の勝ち組に上から目線で語られてる時点で。
で、こんな人間が格差是正の一線にいるなんて到底許せない、自分は。
「日本人の時給は下がったかもしれないが、普通の日本人なら1時間働くだけで牛肉の入った食事を2食分は食べられる」
「世界的に見ると、年収500万円あたりが上位1％に収まるラインだと言われていて、実は多くの日本人がそこに収まってしまう」
どれだけ甘い現状認識なのかがわかる。

こんなことをブログで管巻いても仕方がないのだけれど、まあしかしこんな記事があってもいいだろう、どうせもともとろくなブログではない。