夏の訪い


夏が扉をたたくころになりました。
日中は暑くて疲労と消耗が激しいですね。
夜になればまだ季節風が涼やかになりますが、夏本番と言われても驚かないほど、昼間は焼けた下界でした。
梅雨の中休みにしてはカンカン照りが続きます。


もっとも、そうではない場所もあるようですね。
豪雨に見舞われている関東地方の方々にはお見舞い申し上げます。
九州の北の片隅から、事なきことを祈るのみです。


さて、こう温度が厳しいと、外に猫を撮りに出ても、まず出会えません。
猫は寒いのと同じくらい、暑いのが嫌いですからね。
それでも、よく探してみると、車の下にいる猫に気づくかもしれません。
風通しのよい日陰を与えてくれる車の下に、猫が脱力しているのをちょくちょく見かけます。
夜は元気に動く猫たちも、日中はお疲れモード。
自分もお疲れモ…なんでもありません(笑)


さて、以前にも紹介した本なんですが、この時期のお勧めの一冊。
E.ヘミングウェイで、「海流の中の島々」
南の島と海を舞台に、人間の生を描いた作品…といえばいいかな。
ヘミングウェイのほかの長編は正直言ってこの作品の比ではない、と思ってます。
ちなみに、「老人と海」は当初この本の最後のパートとして書かれていたのだとか。
結果から言えば、この短編を切り離したのは正解だったでしょう。
短編史上不朽の名作と、ヘミングウェイそのものとも言える長編を生んだわけで。


初期の短編にも表現力のほどは見て取れますが、この作品は凄い。
鮮やかに立ち上がるイメージ、描写と叙述のレベルが一味違います。
ページを繰る、その手のすぐそばで南洋の波飛沫が陽光に弾けるようです。


そして読後感は……。
時代の潮流の中で、人間は人間らしく在れる、と思えるか、それとも、やはり絶望と同居することにしよう、と思うかは読み手しだいですね。


今日はSimon And Garfunkelの詞でお別れです。


I am a rock,
I am an island.

And a rock feels no pain;
And an island never cries.



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