此岸に在りし


彼岸花


去年も彼岸花でエントリー書いた覚えがあるぞ。
月日が経つのは早いんだなー。
大学を辞めたのは今頃か。
もうこんな歳になってしまった。まだ全然若いけど。
どうにも後ろを見て歩く癖があっていけない。
将来の展望とか、十年計画とか、正視したくないものな。
根拠(資金)のない願望を並べることはいかにもたやすく、
現実の積み木を重ねることは難しい。
自分は今から、白紙の伝記に書き込むことができるというのに、
僕はまだ、半生記を読み返して溜息を吐いている。


人間五十年下天のうちを較ぶれば、人生は本当に、本当に短い。
永田町の猿山争いも、島取りゲームも、人が生きる意義という見地からは無益でなんの意義もない。
路傍の花と正対することのほうがどれほど人に与えうることか。
なんとなれば人は彼岸花を通して実際には宇宙(コスモス)を見ているのである。
できれば僕はそういうものに対してだけは真摯に生きたい。


口を開けば不真面目な僕だが、路上の猫たちや、通り過ぎてゆく四季の風景や、家族をはじめとした人間の思い、
そういったものを侮ったことは決してないし、これからもないだろう。
そういう生き方であれば、たとえ人生の落伍者ではあっても、僕は自らの歩みに恥じずに死ねる。